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[社説]高齢者医療の改革を続けよ - 日本経済新聞

75歳以上の高齢者が支払う医療費の窓口負担割合が10月から一部変更になり、一定以上の所得がある約370万人が1割負担から2割負担に引き上げられた。年金収入とその他所得の合計が単身世帯で年200万円、複数なら320万円以上あると対象になる。

食料品などの物価上昇が広がるなかで負担増を求めることになるが、2025年9月末までの3年間は毎月の負担増を最大で3000円に抑える配慮措置が実施される。政府や自治体はこうした措置も対象者に丁寧に説明し、負担増への協力を求めてほしい。

今回の負担増は高齢者の医療を支える現役世代の負担を軽くするのが狙いだ。75歳以上の医療費は患者負担を除いた費用の5割を税金、4割を医療保険を通じて現役世代が支払う支援金、1割を高齢者の保険料で賄う。高齢者の増加で医療費が膨らむと、現役世代の負担が重くなっていく。

ただ今回の改革で現役世代の重荷を軽くする効果は限定的だ。支援金の総額は21年度の6.8兆円が25年度に8.1兆円に増える見通しだが、この伸びを抑える効果は25年度時点で830億円しかない。大企業会社員の場合、労使折半後の現役1人あたりの保険料軽減効果は月にわずか33円だ。

効果が小さいのは負担増の範囲が小幅だからだ。今回の対象者は75歳以上の約20%。現役並み所得があって3割負担がすでに適用されている人は約7%なので、今後も約73%は1割負担が続く。

さらに1カ月あたりの医療費負担の上限額は見直しの対象外だ。2割負担の対象者でも外来受診のみの場合で1万8000円、入院があっても世帯で5万7600円と、これまでと変わらない。

2割負担の対象者を広げるとともに、所得だけでなく資産に着目して能力に応じた負担を求める改革が急務だ。薬や検査の重複を減らす仕組みづくりなど医療の効率化も欠かせない。現役世代の負担を抑える改革をこれで打ち止めにしてはならない。

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