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トヨタ、EV遅れも最高益の理由 独自の電動化で快進撃 - 産経ニュース

トヨタ自動車の決算説明会で登壇した宮崎洋一副社長=1日午後、東京都中央区

トヨタ自動車が1日発表した令和5年9月中間連結決算の営業利益率は、前年同期の6・4%を大幅に上回る11・6%の高水準に達した。原動力は、得意とするハイブリッド車(HV)を中心とする電動車の好調な販売だ。半導体不足の緩和で供給力が高まり、中間期の世界販売台数(レクサス含む)に占める電動車比率は前年同期比7・5ポイント増の約35・3%と過去最高水準に拡大。電気自動車(EV)では米テスラや中国の比亜迪(BYD)の後塵を拝しているが、豊富な電動車のラインアップが市場の脱炭素・低燃費ニーズを着実に取り込んでいる。

「CO2(二酸化炭素)削減と収益を両立したハイブリッドがあることだ」

同日会見した宮崎洋一副社長は、トヨタの稼ぐ力の特徴をこう強調した。

急速なEVシフトへの対応が遅れて苦戦している中国でも、「クラウン」やミニバンの「アルファード」「ヴェルファイア」のHVが健闘し、9月は前年同月比でプラスを確保。9月単月の電動車比率は約37・6%まで高まっている。

中間期は、HVの販売が33・5%増の約169万5000台、充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)も61・7%増の約7万台と大幅に伸長。両電動車の収益性はガソリン車並みで、販売増や海外を中心とする価格引き上げなどの商品力・営業力は、営業利益ベースで1兆2900億円の増益効果を上げた。

8月には海外で高い人気を誇る大型スポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー」の新型モデルで初のHVを設定。最高級車「センチュリー」の新型やSUVの「クラウン スポーツ」にもPHVモデルを用意するなど、今年投入の新型車で電動車の商品群は一段と拡大する。

EVの購入には依然、充電設備の数や長距離走行時の電池切れへの不安といった心理的なハードルがある。購入補助金などの政策支援の手厚さにも国・地域で差があり、そうした市場の実情と、使い勝手に安心感があるHVやPHVで幅広い車種の選択肢をそろえるトヨタの電動化戦略が合致している。EVの車種が少なく、需要喚起のための値下げの影響で、7~9月期決算の最終利益が前年同期比44%減と低迷したテスラとは対照的だ。

ただ、HVの好調さと裏腹にEVの販売ペースが鈍い点は課題だ。

今回、トヨタは6年3月期のHV・PHVの販売見通しを引き上げた一方、EV販売は約12万台と当初比で約8万台引き下げた。中国ではEVで激しい値引き合戦が起こっており、「極力、価格競争に巻き込まれず(HVで)台数を確保していく」(宮崎氏)戦略的な判断があるという。

だが、「トヨタのEVにはまだまだ改善の余地があるとの顧客の声がある」(同)と商品競争力の問題も示唆している。「全固体電池」の開発などEV事業の投資を積極化しているだけに、早期に商品力をテコ入れし、テスラやBYDに対抗するための相応の橋頭保(きょうとうほ)をEV市場に確保することは重要だ。

一方、電動化の進展に伴い、今後、半導体や電池材料などの調達環境は再び厳しさを増す恐れがある。電動車の半導体搭載数はガソリン車よりも多く、EVでは約3倍ともいわれる。PHVやEV需要の拡大は継続的な半導体の不足感につながりかねない。

中国が12月1日から電池材料の黒鉛の輸出規制を導入するなど、資源を囲い込む政策の動きもサプライチェーン(供給網)を不安定化するリスクもある。

先行きの収益環境について、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、イスラエル・パレスチナ情勢の緊迫化による原油高や、全米自動車労働組合(UAW)の賃上げ獲得の北米労務費への波及などがコスト圧力になる可能性も指摘しており、好業績でもトヨタの背中には課題が山積している。(池田昇)

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