連結純利益を基に今期(2024年3月期)の市場予想と会社計画を比較したところ、プラスのかい離額で最大となったのは トヨタ自動車で、業績に上振れ期待が根強くあることがわかった。販売好調に加えて円安の恩恵が大きいとの見方が背景にある。
上期決算発表を終えた3月期企業で、通期見通しを公表している東証株価指数(TOPIX)銘柄のうち、時価総額5000億円以上、アナリスト予想10以上の企業を対象に、市場予想と会社計画をブルームバーグが比較した。決算発表を反映したアナリストの予測を使い、22日に集計した。金融関連は除いた。
市場予想が会社計画を上回る上位10社
企業名 | 市場予想 | かい離額 |
---|---|---|
トヨタ | 4兆2110億円 | 2610億円 |
武田薬 | 1477億円 | 547億円 |
ホンダ | 9792億円 | 492億円 |
信越化 | 5551億円 | 351億円 |
ANA | 1148億円 | 348億円 |
コマツ | 3746億円 | 346億円 |
住友化 | -608億円 | 342億円 |
アステラ薬 | 1184億円 | 334億円 |
NTT | 1兆2880億円 | 330億円 |
スズキ | 2711億円 | 311億円 |
上位10社の合計値で比較すると、市場予想は企業計画を約6000億円上回り、その分だけ株価が期待を織り込んでいる可能性がある。いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は電話取材で、「米中経済が減速するとみて、企業の計画が低かった」としたうえで、10-12月期(第3四半期)に業績が変調するようなら、「株価が落ち込む可能性もある」と指摘する。
トヨタは1日に発表した決算で、想定為替レートの見直しや原価改善を理由に通期計画を引き上げ、純利益を従来比で1兆3700億円多い3兆9500億円とした。だが、会社計画はアナリスト11人の予想平均に比べると2610億円低い。
同社の決算発表以降、複数のアナリストが通期予想を見直した。SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは20日のリポートで、純利益予想を9000億円引き上げ、4兆6000億円とした。会社側の今期生産台数1010万台についても、「実勢はこれを上回るベースで推移している」と述べ、1040万台と予想する。遠藤氏は電話取材で「同社は保守的な計画を出すのが従来のパターン」とも述べた。
上位には ホンダや スズキなど自動車業界が目立ち、円安の恩恵が続くことも指摘されている。野村証券の桾本将隆アナリストは14日のリポートで、ホンダの営業利益予想を約1000億円引き上げて1兆3772億円とし、「為替前提と経費の見方が主因」だと説明する。
一方、市場予想が会社計画を下回るのが オリンパスや パナソニックホールディングスだ。オリンパスは下期、米中で消化器内視鏡の発売を控えるが、みずほ証券の甲谷宗也シニアアナリストは、「中国腐敗防止運動の影響や、前年のロシア需要の剥落で低成長にとどまろう」と述べた。
市場予想が会社計画を下回る上位10社
企業名 | 市場予想 | かい離額 |
---|---|---|
オリンパス | 2075億円 | -815億円 |
パナソニック | 4146億円 | -454億円 |
三菱ケミカル | 1097億円 | -253億円 |
NEC | 1209億円 | -191億円 |
住友商 | 4838億円 | -162億円 |
ニトリHD | 875億円 | -125億円 |
三井化学 | 709億円 | -51億円 |
SMC | 1783億円 | -47億円 |
NTTデ | 1397億円 | -43億円 |
富士通 | 2039億円 | -41億円 |
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