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「一段とチャレンジングに」日銀総裁発言、サプライズ生む…緩和「出口」見据え円高に - 読売新聞オンライン

 8日の東京金融市場は、日本銀行が早期にマイナス金利政策を解除するとの観測から、円高、株安、債券安が進んだ。日銀は今月18、19日に金融政策決定会合を控え、市場は植田和男総裁らの情報発信を注視する。米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)が来年に利下げに踏み切るとの観測が強まる。年末に向けて神経質な相場展開となりそうだ。(市川大輔、ワシントン 田中宏幸)

 8日の外国為替市場の円相場は、7日のニューヨーク市場で一時、1ドル=141円60銭台まで円高・ドル安が進んだ流れを受け、東京市場は午後5時、前日(午後5時)と比べて1円59銭円高・ドル安の1ドル=144円08~10銭で大方の取引を終えた。

 東京株式市場もほぼ全面安となり、日経平均株価(225種)の終値は、前日比550円45銭安の3万2307円86銭だった。

 債券市場では長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、前日終値比0・050%高い0・800%まで上昇(債券価格は下落)した。 8日の相場が大きく動いたのは、市場参加者が日銀のマイナス金利政策の解除が近づいたと受け止めたことが発端だ。

 日銀は7月と10月の決定会合で、金融政策を修正した。市場は、日銀の「次の一手」を巡り、短期金利を引き上げるマイナス金利の解除とみる向きを強める一方、その時期については読みあぐねてきた。それだけに、植田氏が7日の国会で、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことは早期解除を想起させ、サプライズにつながった面がある。

 植田氏が7日、この発言後に岸田首相と官邸で会談したことも市場を刺激した。植田氏は会談後、「(首相から)特別な要請はなかった」と強調したが、金融緩和策を縮小する「出口」を見据えた政府・日銀間の調整と見る向きが出て、市場は一気に身構えた。

 氷見野良三副総裁の6日の講演と記者会見で、「家計は全体でみれば借入額より預金が多く、金利のある時代に戻れば、総じて収支が改善するのではないか」などと「出口」を見据えた言及をしたことも、下地になっていた面もある。

 さらに国際通貨基金(IMF)のジュリー・コザック報道官が7日の記者会見で、日銀が「短期の政策金利を引き上げる準備を続けるべきだ」と述べ、マイナス金利の解除が選択肢になるとの認識を示したことも拍車をかけた。米国では、FRBが来年にも利下げするとの観測が広がっており、日米の金利差縮小が意識されやすい。

 ただ、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、「植田総裁の発言が、早期のマイナス金利政策解除を市場に織り込ませるために日銀が意図的に送ったメッセージとの解釈には無理があると考えられる」と指摘する。

 今後の相場はどうなるのか。円相場については、日米金利差の縮小を通じた円高進行を織り込む見方が市場では多い。昨年10月から今年1月にかけ、円高が急速に進んだ時は、日経平均の下落は続かなかったことから、大手証券関係者は「今の水準から多少円高に振れても株価の下落が続く可能性は低い」と指摘する。

 長期金利については、「日銀の今月の決定会合までは、金融政策に対する思惑から、さらに上昇する可能性もある」(大和証券の佐藤一哉氏)との声が聞かれた。

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