11日の米株式相場は続伸。12日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)の伸びが減速するとの見通しから買いが優勢になった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4439.26 | 29.73 | 0.67% |
ダウ工業株30種平均 | 34261.42 | 317.02 | 0.93% |
ナスダック総合指数 | 13760.70 | 75.22 | 0.55% |
S&P500種株価指数は4400の節目を超えて上昇。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物が100日移動平均線を上回ったことを追い風に、エネルギー株が堅調だった。アクティビジョン・ブリザードは10%急伸。マイクロソフトが計画する690億ドル(約9兆7000億円)規模の同社買収が実現へと大きく前進した。買収差し止めを求めた米連邦取引委員会(FTC)の訴えを、米連邦地裁が棄却した。
マイクロソフトのアクティビジョン買収、米国での完了に青信号 (1)
22Vリサーチが実施した調査では、食品とエネルギーを除いたコアCPIについて、回答者の65%がコンセンサスよりも低い数字になると考えていることが示された。54%は今回の統計が「リスクオン」の材料になると想定している。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州資産配分責任者ジェーソン・ドラホ氏は「経済指標がソフトランディング(軟着陸)の方向に傾斜し続ける場合、市場はそうした結末をますます織り込む可能性が高く、リスク資産への再配分が進む」と分析。「データが引き続き決定的でなく、ソフトランディングが基本シナリオというよりも、強気なシナリオに映る場合、市場はレンジの動きにとどまるだろう」と述べた。
ブルームバーグ調査の中央値によると、コアCPIは前年同月比5%上昇に鈍化の予想。ただ、追加の金融引き締めが回避されるほどの減速にはならないとみられ、連邦公開市場委員会(FOMC)は今月の会合で利上げを再開すると広く予想されている。
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「7月26日の0.25ポイント利上げは現時点において既定路線であり、12日発表のCPIは9月や11月の議論に関わってくる」と述べた。
米CPIは2022年6月に前年同月比9.1%上昇と、40年ぶりの高い伸びとなって以降、米金融当局の積極利上げに伴い、着実に鈍化してきた。インフレ減速は今年の株高に寄与しており、株式強気派の熱狂は強い前例で裏付けられている。
ロイトホルト・グループがまとめたデータによると、1950年代以降、インフレがピークに達した後はほぼ常に株価が2桁の上昇を見せてきた。S&P500種は昨年10月に底を付けて以降、20%余り上昇。昨年7月にCPIのピークを示すデータが公表されて以降では、約15%値上がりしている。
かつて米株式相場を悩ましたインフレ、株高の味方に-「買いの好機」
CPI統計の次は、4-6月(第2四半期)の決算シーズンに市場の関心が移る見通し。14日にはJPモルガン・チェースとシティグループ、ウェルズ・ファーゴが業績を発表する。
今年上期のS&P500種の上昇は、今世紀に入って以降のどの半年間よりも、大型株に集中していた。結果として、大型株のバリュエーションが高くなっている。ブルームバーグ・インテリジェンスのチーフ株式ストラテジスト、ジナ・マーティン・アダムズ氏はこうしたプレミアムが維持されるかどうかについて、決算シーズンや金融政策に関する手掛かりに「左右される」との見方を示した。
米国債
米国債市場では短期債が下落。3年債入札の需要は旺盛だったが、CPIを控え、2年債と10年債の利回り差は再びフラット化した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.01% | -2.0 | -0.49% |
米10年債利回り | 3.98% | -1.6 | -0.40% |
米2年債利回り | 4.89% | 3.0 | 0.61% |
米東部時間 | 16時42分 |
外為
米CPIの発表を控えてドル指数が低下。同統計はインフレ鈍化を示すと予想され、米金融当局の次の行動に関して手掛かりを提供する可能性がある。円は対ドルで4営業日続伸し、一時1ドル=140円16銭とほぼ1カ月ぶりの高値を付けた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1220.14 | -3.70 | -0.30% |
ドル/円 | ¥140.36 | -¥0.95 | -0.67% |
ユーロ/ドル | $1.1006 | $0.0005 | 0.05% |
米東部時間 | 16時42分 |
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは、2022年終盤の円上昇につながった一連の同じ条件が「再び整っている」と11日の顧客向けリポートで指摘。市場は「ここからドル・円相場の上値を追う」ことには慎重であるべきだとし、ドルベースの投資家は「円のロングポジションを保持する」べきだと記した。
カナダ銀行(中央銀行)の政策決定を12日に控え、カナダ・ドルも値上がりした。同中銀は2会合連続で利上げを実施すると予想されている。
原油
ニューヨーク原油先物相場は反発。ロシア産原油の出荷量が減少し始めていることが データで明らかになり、市場の供給過剰が解消に向かう可能性が示唆された。
ブルームバーグが監視する船舶追跡データなどによると、7月9日までの4週間でロシア西部の主要港から輸出された原油の量は、2月の平均水準を初めて大幅に下回った。ロシアは減産を主張していたものの実際の出荷量が予想を上回ってきただけに、原油市場にとっては大きな進展となる。
中国がさらなる景気刺激策に動くとの観測も市場の地合いを強めた。WTI原油は1バレル=74ドルを超え、過去数カ月で主要な抵抗水準となっていた100日移動平均を上抜けた。
中国がさらなる景気対策を示唆、不動産セクターに一段の支援策か
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比1.84ドル(2.5%)高の1バレル=74.83ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント9月限は同1.71ドル(2.2%)高の79.40ドル。
金
ニューヨーク金相場は上昇し、約3週間ぶり高値を付けた。米国債利回り低下とドルの下落が支援材料。12日発表の6月CPIに注目が集まっている。
フィリップ・ノバのアナリスト、プリヤンカ・サクテバ氏は顧客向けリポートで、CPI統計は米金融当局の次の動きを左右する重要な要素になると指摘。「米金融当局の姿勢が軟化すればドルの魅力は相対的に下がり、ドル建てで取引される金の妙味は増すことになる」と論じた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の先物8月限は前日比6.1ドル(0.3%)高の1オンス=1937.10ドルで取引を終えた。
原題: Wall Street Traders Drive Stocks Higher Before CPI: Markets Wrap(抜粋)
UST Front-End Weakens Ahead of CPI Despite 3-Year Auction Demand(抜粋)
Dollar Drops Ahead of CPI, Yen Rises a Fourth Day: Inside G-10(抜粋)
Oil Rises as Russian Crude Output Drops, China Signals Stimulus(抜粋)
Gold Rises to Three-Week High on Weaker Treasury Yields, Dollar(抜粋)
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