英ポンドが最安値、追加減税方針でフラッシュクラッシュか - ブルームバーグ

アジア時間26日の外国為替市場では、英ポンドが対ドルで一時５％近く下落し、過去最安値を更新した。

　　英政府が23日に打ち出した財政政策に対する金融市場の受け止めは否定的だったにもかかわらず、クワーテング財務相は週末に追加減税を推進する方針を表明した。

　　ポンドの対ドル相場は一時、１ポンド＝1.0350ドルと過去最安値を付けた。急落はわずか20分で起きたことから、トレーダーの間ではフラッシュクラッシュと指摘する声もあった。

　　今週も市場の混乱が続けば、トラス政権が迅速な政策対応を余儀なくされる危機につながる恐れもある。

　　ＳｔｏｎｅＸグループの外国為替トレーダー、ミンツォ・ウ氏（シンガポール在勤）は「ポンドのフラッシュクラッシュだ。議論の余地はない」と述べた。

　　ポンドの26日の下落率は2020年３月以来で最大。オプション市場の動きからは、ポンドがドルとパリティー（等価）に今年下落する確率が約60％に高まっていることが示されている。ロンドン時間午前６時５分（日本時間午後２時５分）現在は1.0545ドル。

Pound falls to record low after UK signaled more tax cuts

　　英紙テレグラフによれば、ポンドがドルと等価に下落すれば、トラス首相は与党保守党の一般議員による造反に直面しそうだ。市場ではすでにイングランド銀行（英中央銀行）にポンド安に歯止めをかける緊急行動を求める声も上がっている。

　　オーストラリア・ニュージーランド銀行（ＡＮＺ）の通貨ストラテジスト、ジョン・ブロムヘッド氏は「今日の相場変動の規模は、英中銀が少なくとも多少の安定を図ろうと口先介入を試みるなど、行動を余儀なくされることを意味している」と指摘。トレーダーは既に英中銀による11月の１ポイント利上げを織り込んでおり、今後その会合までの間の利上げが見込まれると予想した。

　　一方、オーストラリア・コモンウェルス銀行（ＣＢＡ）の国際経済責任者ジョセフ・カパーソ氏（シドニー在勤）は「英財務省がイングランド銀行を介してポンドを支える介入をするとは考えていない」とコメント。トラス政権の財政政策を巡る懸念を政務担当者の発言で沈静化させられるか、逆に強めることになるかどうかが、今週のポンド相場に最も重要な影響を及ぼすと指摘した。

原題： Pound Crashes to All-Time Low With UK Markets ‘Under Siege’（抜粋）

(市場関係者のコメントを追加します。更新前の記事は第６段落の日中変化率の部分の説明を訂正済みです。)

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