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地銀連合、首都圏へ攻勢 静岡・山梨中央が業務・資本提携 - 日本経済新聞

業務提携について発表する静岡銀行の柴田久頭取(左)と山梨中央銀行の関光良頭取(28日、東京・千代田のパレスホテル東京)

業務提携について発表する静岡銀行の柴田久頭取(左)と山梨中央銀行の関光良頭取(28日、東京・千代田のパレスホテル東京)

静岡銀行山梨中央銀行は28日、業務提携することで合意したと発表した。静岡と山梨両県のトップ地銀が手を組み首都圏などに攻め込む。相互に出資する資本提携も結ぶ予定。取引先の経営支援や証券分野などで事業拡大をめざすとともに、システムの共同化でコスト削減を進め収益力の強化につなげる。有力地銀の合従連衡で地域を越えた競争が激しくなる。

「今後5年間の収益効果は100億円を見込んでいる」。静岡銀の柴田久頭取は28日に都内で開いた記者会見で業務提携の利点を強調した。両行は2019年に地方創生を目的に連携協定を結んでいたが、包括的な提携に発展させる。将来の統合・合併については「今の時点ではまったく想定していない」と述べた。

提携策では取引先の販路拡大や、両行が地盤とする静岡県と山梨県への営業進出などを支援。静岡銀の証券子会社を活用し、山梨中央銀の店舗でも商品を販売できるようにする。営業エリアも拡大する。両行は神奈川県や東京都などに進出済みで、双方の店舗網を活用して住宅ローン販売や法人向け融資を広げる戦略だ。

コスト削減策では基幹系システムの共同化をめざす。静岡銀は21年1月にシステム刷新する予定。外部のシステムに接続しやすいオープン系の仕組みを計画しており、将来は山梨中央銀のシステムと共同運用することを検討する。新たなサービスなどを迅速に展開できるようにする狙いだ。

両行が提携に踏み切った背景には経営環境の悪化がある。両行は地盤とする県内で高いシェアを誇る。東京商工リサーチによると企業が主要取引先とする銀行のシェアで、静岡県は静岡銀が39%、山梨県は山梨中央銀が57%といずれも首位。だが20年3月期までの両行の連結純利益をみると静岡銀は2年連続、山梨中央銀は4年連続で減益が続く。

山梨中央銀の関光良頭取は「従来の延長線上ではなく抜本的な策を打たなければいけない」と提携を決断した理由を語った。

両行が収益力を高めようと目を向ける先の一つが首都圏だ。ただ有力企業がひしめく市場は競争も激しい。地銀トップの横浜銀行と千葉銀行は19年に業務提携を発表。「強者連合」の誕生は地銀界に衝撃を与えた。ある地銀関係者は「横浜銀を最大のライバルとみなす静岡銀は危機感を募らせていた」と話す。こうした動きも提携を後押ししたとみられる。

地銀同士の業務提携の動きは全国で相次ぐ。取引先のビジネスマッチングを支援したり、ATMを相互開放したりするなど分野別の取り組みも多い。千葉銀など10行が参加する「TSUBASAアライアンス」はシステムを共同運用する。9月に経営統合案が浮上した青森銀みちのく銀も19年に包括提携を結んでいる。

菅義偉首相が自民党総裁選で「再編も一つの選択肢になる」と言及するなど、地銀に対する再編圧力は増している。経営改革の手法として統合・合併よりも緩やかな業務提携を選択する地銀が増える可能性もある。

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