経済協力開発機構(OECD)は22日、世界経済が大幅に減速しても各国・地域の中央銀行は広範囲に及ぶ物価高騰と闘うため、利上げを継続すべきだと呼び掛けた。
最新経済見通しでOECDは、予想外の物価急上昇とそれに伴う実質所得への影響はあらゆる場所で人々に打撃を与えており、政策当局者が行動を怠れば問題は悪化する一方だと指摘した。
OECDは2023年のインフレ率見通しを9月時点の予測から上方修正。24年のインフレ率については、多くの中銀の目標をかなり上回る水準にとどまるとし、米国は2.6%、ユーロ圏は3.4%、英国は3.3%と予想した。
OECDのペレイラ暫定チーフエコノミストはブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「今はインフレ抑制を最優先課題とする必要があり、さもなければ1970年代のような賃金・物価の悪循環に行き着くか、インフレが強く定着してその抑制に必要な痛みがさらに大きくなる結果となりかねない」とコメント。「行き過ぎるリスクは、何もしないことのリスクより確かに少ない」と付け加えた。
ただ、世界経済は難しい岐路に立たされている。ロシアによるウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格高騰が重しとなって既に成長は減速。低所得国を中心とした信用コストの高まりは金利上昇に伴うもう一つのリスクだ。OECDによると、低所得国の3分の2は既に高い債務負担に見舞われている。
それでもOECDは、物価抑制に向けた初期的な成果の兆候が一部見られ、中銀が景気抑制的な路線を維持する必要性を示していると指摘。利上げを速やかに開始したブラジルでここ数カ月にインフレが鈍化し始めている点に言及したほか、米国がインフレとの闘いで多少前進したことを最近のデータは示していると分析した。
OECDは世界経済が「大幅な成長減速」に見舞われるだろうとしながらも、リセッション(景気後退)を現時点で予想しておらず、実際に成長見通しの一部を上方修正した。特にユーロ圏については、23年の成長率を0.5%とし、9月時点の予測の0.3%から引き上げた。
日本の国内総生産(GDP)伸び率は23年が1.8%、24年は0.9%と見込んでいる。
ペレイラ氏は、家計の貯蓄が消費のクッションとなっているほか、欧州の財政政策による支援はOECDの9月時点の評価に比べ「極めて大掛かり」だと分析。ただ、インフレ加速や過度の財政負担を招くことなく、最も脆弱(ぜいじゃく)な層だけを確実に守るため、よく的を絞る必要があると警告した。
ペレイラ氏はOECDの最新経済見通しの序文で、「物価高との闘いでは、財政政策と金融政策が手を携えて進められることも不可欠だ」とし、「物価上昇圧力を高める財政政策の選択肢は、インフレ抑制のため政策金利をさらに高く引き上げる状況を招く」と指摘した。
原題:Central Banks Must Stick to Hikes as Economy Slows, OECD Says(抜粋)
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