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日銀総裁、円安「全体としてプラス変わらず」 - 日本経済新聞

日銀は28日の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を決めた。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を毎営業日実施することも決定。2022年度の物価上昇率見通しは従来の1.1%から1.9%に引き上げたが、日銀は物価上昇は一時的として現行の金融政策を堅持する。

黒田東彦総裁は同日の記者会見で、指し値オペを毎営業日実施する狙いについて「長期金利の上限をしっかり画する」と述べ、金利上昇を抑え込む姿勢を改めて強く打ち出した。そのうえで、日本経済は新型コロナウイルス禍からの回復途上だとして「粘り強く金融緩和を続けることで経済の回復を支援するのが最も重要だ」と語った。

緩和維持を受けて、28日の東京外国為替市場では円相場が下落。一時1ドル=130円台と約20年ぶりの円安・ドル高水準をつけた。インフレ下で利上げを進める米国と大規模緩和を続ける日本の政策姿勢が一段と鮮明になったことで金利差が広がり、金利の高いドルにマネーが流れ込んでいるためだ。

黒田総裁は「全体として円安がプラスという考え方を変えたわけではないが、過度な変動はマイナスに作用する」と指摘。急激な変動に警戒感を示したうえで「十分に注視していく」と述べた。

円安の背景にある日米の金融政策の違いについては、消費者物価指数の上昇率が8%を超えている米国と足元で0.8%にとどまる日本では環境が全く異なると強調した。そのうえで「2%(目標)の持続的、安定的な実現を目指す観点から粘り強く緩和を続ける」と繰り返し強調した。

4月には携帯電話通信料の引き下げの影響が薄れ、日銀が目指す物価上昇率2%への到達が現実味を帯びてきた。日銀は物価の見通しを「いったん2%程度まで上昇率を高める」とする一方、エネルギー価格の押し上げ効果が薄まり「プラス幅を縮小していく」として、23年度見通しは1.1%とした。

日銀は現在の物価上昇がコスト要因による一時的なもので「持続しない」とみている。持続的な物価上昇に必要な賃上げが依然として広がりを欠くためだ。黒田総裁は賃金の上昇を含む経済の好循環のなかでの2%達成には「なお時間を要する」とした。

原材料の輸入価格を押し上げる円安が、企業による値上げを通じて国民負担を増大させているとの認識も政府内で強まっている。黒田総裁は「金融緩和の出口を早急に探ることにはなっていない」と述べたが、円安がこのまま進めば、市場では日銀が年内に何らかの政策修正を迫られるとの観測がくすぶっている。

具体的には、政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)の見直しや、長短金利操作で容認する長期金利の上限を現在の0.25%程度から0.5%程度に広げる案などが選択肢となる。日銀の緩和姿勢を試すかのように、投機筋が円売り・ドル買いを加速させる展開も否定できず、金融政策のかじ取りは一段と難しくなる。

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