欧州中央銀行(ECB)は4日、0.25ポイントの利上げで中銀預金金利を3.25%とした。利上げ幅を縮小させたものの、利上げは今回が最後ではないと強調した。
0.25ポイントは今回の利上げサイクルで最小。決定はトレーダーや大方のエコノミストの予想に一致した。前3回は0.5ポイントの利上げを実施していた。
ECBは、インフレ率を目標の2%に戻すのに十分に景気抑制的な水準まで政策金利を引き上げるとした上で、そこへ向けた将来の決定はデータ次第だとあらためて表明。また、政策金利は必要な限り、抑制的水準に据え置くとも言明した。
ラガルド総裁は決定発表後の記者会見で、「われわれにはまだすべきことがある」とし、利上げは「停止しない。それは極めて明白だ」と述べた。
この日の決定は「ほぼ全会一致」だったが、何人かのメンバーが0.5ポイント利上げを主張したと明らかにした。
ECBは、資産購入プログラム(APP)で購入した債券の満期償還金再投資を7月に停止する方針も示した。0.5ポイント利上げを支持するタカ派メンバーへの譲歩ともみられる。
ECBは約5兆ユーロ(744兆円)の保有債券を3月以降、月額150億ユーロ程度のペースで減らしてきた。ブルームバーグの調査に答えたアナリストは、再投資停止でなく減額ペースの緩やかな加速を予想していた。ラガルド総裁によると、停止は平均で月額250億ユーロに相当する。
パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)下の保有債券の再投資は計画通り少なくとも2024年末まで続けると、総裁は述べた。
4日の決定発表を受けて短期金融市場が織り込むピーク金利は3.7%と、先週の3.9%から低下した。9月までに達すると見込まれている。
ユーロ圏の総合インフレ率は昨年10月のピークを大きく下回り、4月のコアインフレ率は10カ月ぶりに低下した。それでもECBのインフレとの闘いは終わっていない。市場とアナリストは あと2回の0.25ポイント利上げを見込んでいる。
ラガルド総裁は会見で、インフレ見通しには依然、「相当大きな」上振れリスクがあるとの認識を示した。
「既に進行中の価格圧力が、目先の小売価格を予想以上に押し上げる可能性」に言及したほか、「最近の賃金交渉における合意がインフレへの上振れリスクを高めた」とし、企業の利益率が高水準にとどまればリスクは増すと指摘した。
金利がピークに達した後、どの程度の期間据え置かれるかについてECBはガイダンスを示していない。ラガルド総裁はこの日、「利下げについてのコミットメントはしない」と述べた。
ECBが2日公表した銀行融資調査によれば、ユーロ圏の銀行は1-3月(第1四半期)に予想以上に融資を抑制した。スイスのUBSグループによるクレディ・スイス・グループの緊急買収後、この流れは悪化した可能性もある。
米国発の新たな波乱もある中で、域内銀行はECBからの低金利の長期融資、約5000億ユーロを来月に返済する予定。ラガルド総裁は、最近の調査は銀行融資が一段と弱含む可能性を示唆していると述べた。
タカ派委員、あまり抵抗せず
事情に詳しい関係者によると、今回の政策決定では、0.5ポイント利上げを支持していた委員は数人が主張を維持したものの、あまり抵抗しなかった。
追加利上げが示唆され、APPで購入した債券の満期償還金再投資を終了する意向が打ち出されたことが、0.25ポイント利上げでの合意を後押しした。政策委員会内の協議は非公表だとして関係者は匿名で語った。
ECB報道官はコメントを控えた。
原題: ECB Vows More Hiking to Come After Slowing Tightening Pace (2)、 ECB Slows Rate-Hiking Pace But Signals More Still to Come (2)、 ECB Slows Rate-Hiking Pace But Hints at More Still to Come、 ECB Hawks Gave Up on 50 Basis-Point Hike Without Much of a Fight(抜粋)
(最終3段落に関係者の情報を加えます)
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