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アングル:中国ビットコイン採掘業界、政府の禁止措置で壊滅状態 - ロイター (Reuters Japan)

[上海 25日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)・ビットコインの「マイニング(採掘)」で世界シェアの50%強を占める中国では、政府と金融当局が先月、マイニング禁止の方針を打ち出した。このため業者が機器を投げ売りしたり、米テキサス州やカザフスタンなど海外に逃げ出そうとしたりしており、国内のマイニング業界は壊滅状態に陥っている。

 6月25日、 暗号資産(仮想通貨)・ビットコインの「マイニング(採掘)」で世界シェアの50%強を占める中国では、政府と金融当局が先月、マイニング禁止の方針を打ち出した。写真はビットコインと中国旗のイメージ。2020年4月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

南西部の四川省で仮想通貨のマイニング施設を運営するマイク・ファン氏は「マイニング業者の多くは政府の方針に従い、事業から撤退している。マイニング機器の売られ方は、まるで金属スクラップのようだ」と話す。

四川省は、ビットコインのマイニング拠点として新疆ウイグル自治区に次いで国内2位の規模。だが、地元政府が1週間前に仮想通貨禁止令を出した。

世界全体にビットコイン取引の熱狂が広がった影響で、中国国内にも仮想通貨の投機的取引が復活し、国務院(内閣に相当)は5月下旬、金融リスクを回避するため、ビットコインの取引とマイニングに対する取り締まり強化を発表した。新たな方針発表は中国人民銀行(中央銀行)が中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタル人民元」の試験を進めるタイミングと重なった。

中国の当局者は、仮想通貨が経済の秩序を乱し、違法な資産取引や資金洗浄を後押しすると説明している。アナリストによると、中国政府の懸念要素には、デジタル人民元との競合や、電力を大量に消費するビットコインのマイニングによる環境被害も含まれる。

中央の禁止方針発表を受けて、内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区、雲南省、四川省などマイニング施設が集中している地方が、マイニング事業根絶に向けた具体策を公表。海外投資家の間で中国という巨大市場が混乱に見舞われるとの警戒感が広がり、ビットコイン価格が急落して一時は3万ドルを割り込み、4月に付けた過去最高値から半分以下の水準になった。

雲南省でマイニング事業を運営するリュー・ホンフェイ氏は「政府が容認しないなら、廃業せざるを得ない。中国で共産党に盾突くことなどできるわけがない」と述べた。

OKExインサイツのシニアディレクター、アダム・ジェームズ氏の話では、一連の禁止措置によって中国におけるビットコインのマイニング産業の最大90%で廃業の可能性がある。

ビットコインなど仮想通貨は、大量の電力を消費し、高性能コンピューターで複雑な問題を解くことで採掘される。コンサルタント会社のブロックスブリッジ・コンサルティングの創業者、ニシャント・シャルマ氏は、中国では「ほとんどのマイニング業者が装置を停止し、手放している」と明かした。

シャルマ氏は、中国のマイニング事業者の廃業がそのまま「どの海外の事業者にとっても恩恵になっている」と説明し、その理由としてハッシュレート(採掘に利用されるコンピューターの計算力を測る指標)に占める割合が自動的に高まり、これに比例する形でマイニングの報酬が増える点を挙げた。

ニューヨーク大学法学部の非常勤教授、ウィンストン・マー氏は「中国ではマイニングの時代が終わった」と言い切った。

<海外移転>

マイニングのための装置「リグ」は、禁止発表後に中国本土で価格が暴落した。

四川省のマイニング業者は、リグの価格が4月と5月には1台が4000元(620ドル)前後だったが、今では安ければ700─800元で買えると教えてくれた。

中国で最大のマイニング装置メーカー、ビットメインは25日、中国での製品販売停止を発表。米国、カナダ、オーストラリア、ロシア、カザフスタン、インドネシアなどで「高質な」電力供給のある場所を顧客ともども探していると表明した。

BITマイニングは21日、マイニング装置320台をカザフスタンへ無事に送ったと発表した。これは第1弾で、計3回に分けて7月1日までに2600台を送る計画だ。

BITマイニングのトップは、声明で「質の高い代替的なマイニング資源を求めて海外での展開を加速する」と述べた。BITは米テキサス州の仮想通貨データセンターにも投資している。

四川省でマイニング施設を運営するファン・デンジー氏のチームもカザフスタンなど海外での可能性も模索している。「政府が方針を転換しなければ、ほかに選択肢はない。中央政府の決定は無視できない」という。

一方、スンと名乗ったあるプロジェクトマネジャーは、国内のマイニング業者がロシアに移転するのを手助けしているが、これまでのところ引き合いは低調だ。「装置を海外に移すのはリスクが大きい。事実上、自分の資産の管理権を手放すことになるから」と語るスン氏は、規制の緩い広東省で、新たな電力供給の確保も進めている。

マイニング業者の中には、最終的に禁止措置が緩和されると期待する声もある。

四川省のマイニング業者のワン・ウェイフェン氏は「電力供給は止められたが、プロジェクトの中止は命じられていない。だから様子見だ。まだ、かすかな望みはある」と強調した。

(Samuel Shen記者、Andrew Galbraith記者)

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